日本証券業協会の上場引受に関する自主規制案が意味不明過ぎて…夏③
ということで、今まで2回にわたって書いてきたエントリー[1][2]の最終回です。前回では、この自主規制案がいい影響も悪い影響も及ぼさないことに言及しました。それではなぜ、優秀な人達がこのように馬鹿げた案を出してくるのでしょうか。
詐欺撲滅に取り組んでますよアピール
これが一番わかりやすいですよね。まともな大人なら、未上場詐欺を見抜けず、株式の購入を行ってしまうのも自己責任だと判断するはずです(もちろん、詐欺師に対して行動を起こして、被害を最低限に留める権利はあると思いますし、そうすべきだと思います)。ただ、そうも言っていられないのが証券会社。彼らが危惧する理由の1つは、自分たちの商売道具でもある「株式」を使って詐欺が行われていることによる「イメージダウン」。もう1つは、自分たちの顧客、あるいは潜在顧客の資産を詐欺師に持って行かれているという機会損失。
詐欺撲滅には貢献しない案ですので、機会損失は防げません。それに取り組んでいるとアピールするにしても、結局少なくなりませんし、そもそも騙されるようなヒトに周知される自主規制かどうかも微妙な気がしますので、この「詐欺撲滅に取り組んでますよアピール」は違いそうですね。====
IPOに値しない会社がIPOをすることを阻止
上場後、短期間で倒産したり、株価が下落するような事態(大幅な下方修正、予算未達等)に陥る企業が増えると、新興市場全体に悪影響を及ぼします。そういう企業は上場させない、自社(証券会社)の顧客に販売しない、という強い意志を持っている証券会社もありますが、そうでないところもあります。
エフオーアイ(主幹事:みずほインベスターズ証券)みたいな怪しいBSの会社でも上場はできます。100%の妄想ですが、野村證券だったら推薦しなかったかもしれません。同様に、モリモト(主幹事:大和証券SMBC)も上場しましたが、野村證券だったら推薦しなかったかもしれません。僕は野村證券が好きな訳ではありませんが、野村證券は審査が非常に厳しいです。だからこそ監査法人も野村證券主幹事なら安心感を持ってたりします。
彼らや、同様に厳しい目を持って審査する証券会社からは投資家の新興市場への不信感を醸成するような上場企業は出てこない(あるいは出てきにくい)と思いますが、自分たちが厳しくやっていても、他の証券会社が上場させてしまえば、自分たちにも影響が出てきます。
上場に値する会社ならいいんです。上場に値する会社なら、今も、そしてこれからも、個人投資家から資金調達していようとしていまいと、上場できます。上場させたくなるインセンティブを証券会社に持たせることが出来ますから。
僕が言いたいことは何となく伝わっているでしょうか?つまり、「上場に値しないと多くの証券会社が思う企業」を「上場させないため」の自主規制案かもしれません。
これは個人的に有力だと思っています。もちろん、A証券会社が「B証券会社がある企業の上場を推薦すること」を止めるなどということは不可能です。この自主規制案があったとしても当然不可能。ただ、B証券会社が怪しい企業を上場させようとするインセンティブが減退する可能性はあります。上場させれば証券会社は儲かりますが、その後問題が起きた場合に日本証券業協会から処分を下される可能性もあるわけですから。
思惑などなく、純粋に詐欺撲滅に貢献すると思っている
もしこうだとしたらちょっと大変ですね汗 もちろん、私が馬鹿で浅はかで、この自主規制案によって未上場株式詐欺が大幅に減少する可能性もありますが。
ということで、このシリーズは終わりです。他にも考えられる理由はありそうですが、にわかには思いつきません。もし面白い案(妄想)があれば教えて下さい!
2010.6.25:追記
ツイッターで、「未上場株詐欺は立件が困難なため、公文書偽造狙い」みたいな話がありました。ふむ、ちょっとよくわかりませんが、やはり見落としはありそうですね。未上場株式詐欺撲滅のためという可能性もなきにしもあらずか・・・
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