ということで、今月の目標の一つでもあるビジネスモデル分析です。と言っても、がっちりやろうとするとアレなので、とりあえず僕が使っている簡単なビジネスモデル判別法です。どこかの誰かがやってるかもしれませんし、ちゃんと分析するアナリストの人とかが見たら「糞分析乙」って言われると思いますけど、あくまで簡便法ですから。5分で「強いビジネスモデルか否か」を(自己)判断する方法です。
5分間の内、検討するのは下記の3点です。見る資料は目論見書とか短信、余裕があれば事業報告書。
利益率は目論見書(リンク先は東京IPOです)の5ページに業績推移が書いてますので、そこで読めます。平成21年3月期はちょっと凹んでますけど、まぁ経常利益率10%強っていうところでしょうか。これが高いか低いかは同業界の競合他社や同様のビジネスモデル・コスト構造の会社との比較感になります。そこを見ていたら5分では終わらないので、まぁ「結構いい」ということにしておきましょう。
次に、売上高構成比を見ます。4ページにありますが、グラフだけ切り取ったのが左記です。ん~よくわかんないですけど、ほとんどが電子書籍の直販というのが見て取れます。だから、基本的には電子書籍の販売をこの規模でやってると経常利益率10%強かなと判断します。
成長性は決算短信の時期見通しと、売上高構成比×自分の業界知識(笑)で考えます。
決算短信を見ると、4ページに時期見通しが書いてあります。
・次期の見通し
IT・インターネット業界において、ブロードバンド化による大量コンテンツの配信及び低コストの定額制の普及によりコンテンツの配信環境が整いました。また、スマートフォンに代表される高機能な新規端末の登場により閲覧環境も向上しております。アマゾン・ドット・コムが発売した電子書籍専用端末を契機に、電子書籍自体の認知も広がっています。次期におきましても、電子書籍に参入する会社が増加し、競争は激化していくと考えられます。このような状況の中で、当社では、運営する電子書籍販売サイトの店舗運営方針として「使いやすいWEBサービス」「質の高いコンテンツ提供」「効果的な広告宣伝」を掲げ、集客と携帯電話・PC等さまざまな媒体に合致した電子書籍販売の促進を行っていきます。
コンテンツの面では新規ジャンル新規コンテンツの模索を行い、WEBサービスの面ではサイト改良を行い、より使いやすいWEBサイトを目指します。また、新規プロモーション開拓によりユーザ層の拡大を目指します。本店戦略では、携帯電話における本店では携帯全キャリアともに電子書籍販売の分野での総合販売シェアの1位を、PCにおける本店及び電子書籍レンタル販売サイト「Renta!」では売上拡大を目標として掲げております。提携戦略では、「Renta!」アフィリエイトの導入を推進し、販路拡大に努めると共に、アフィリエイトの導入サイトと協力して、キャンペーンを行うなどの販促を行っていきます。
次期(平成23年3月期)の業績見通しといたしましては、売上高は3,901百万円、営業利益は414百万円、経常利益は447百万円、当期純利益は263百万円を見込んでおります。
要は、次期は市場拡大+競争激化が予想されますので、現在の延長線上で頑張ります、ということです。会社としては急成長できるとは考えていないようですね。
先に掲載した売上高構成比では電子書籍の販売が主でした。提携店+本店の販売で99.7%。これが伸びるかどうか考えてみましょう。1分以内で。考え方のガイドラインとしては「参入障壁」と「インセンティブ」です。この2語の詳細は別エントリーで。
参入障壁で考えます。まず、仕入面では出版社からコンテンツをGETするのと、著者(編集者)から直接コンテンツをGETするのが主になりそうです。パピレスの競合が同じようなことをしようと考えた時、出版社や著者(編集者)と新規契約してコンテンツをGETするのは難しいでしょうか?それほど難しくはないように思えます。販路があれば、という条件付きですが。もちろん、パピレスのように1社で出版社500社と新規契約してくるのは大変かも知れませんが、例えば新規参入する企業が250社あって、各社が出版社2社と新規契約すれば500社が埋まりますから、仮に新規参入者が出版社2~3社と新規契約できるような状況であれば、参入障壁は高いとは言えそうにありません。ということで、参入障壁はあまり高くなさそうです。
次に、「インセンティブ」を考えます。特に、顧客と取引先(仕入れ先)のインセンティブです。この会社から買う(あるいはこの会社に売る)理由があるか、そうしなければならない理由があるか?あまりなさそうです汗
上記2点から、パピレスの成長性は、市場のそれよりは低く抑えられるのではないかと思います。
上記の成長性のところで少し考えましたが、市場の成長性よりは低い成長性っぽいです。でも、それでもいいんです、成長しなくてもいいんです、利益が出続けるなら。そうすれば毎期配当を払えますし、従業員も雇用し続けられますから。
で、売上高構成比をもう一度見ます。電子書籍販売がほぼ100%でした。これは収入の質としてはフロー収入。つまり、販売できただけ売上が上がるタイプの収入。これってあまり固くないですよね。だって競合が増えて、顧客に選択肢が増えれば、自社製品以外のものを買われるわけですから。今はよくても、今後、安定的に売上・利益を計上できるかわかりません。
逆に、これがストック収入だったらまだ光がありました。ストック収入っていうのは、家賃収入みたいなものです。契約してれば、毎月一定金額が必ず振り込まれる。IT業界でストックビジネスで、僕が好きな会社はpaperboy&co(3633)です。ロリポップのあの会社です。この会社はめちゃくちゃ強いビジネスモデルです。低単価(数百円)の契約を積み重ねて年商20億円ですから。
ちょっと余談でしたけど、つまりは、安定性もあまりないなぁと思うわけです。
まぁ5分です。この間、BSも見ていませんし、キャッシュフローも見ていません。競合の状況もしっかり確かめたわけではありませんし、(顧客や取引先との)契約形態も注視したわけではありません。ただ、ビジネスモデルとしてそんなに強固ではないというのは、外していないかと思います。この会社、時価総額80億円程度ついていたようですが、高すぎると思います。価格競争に巻き込まれて、投資しても回収できなくなって、とあまりよくない未来を想像してしまいます。
いかがでしょうか。もうちょっと図とかあるといいかもしれませんね。パピレスは単一事業ですし、今年は電子書籍元年ですから、気が向けばまた取り上げたいと思います。
注:僕は実際に5分しか検討してません。本当に、BS・その他見てませんので、これでパピレスさんを判断しないで下さい。宜しくお願い致します。
注2:今日の金曜ロードショーの紅の豚に間に合わせるために特急で仕上げたので、後でこっそり加筆修正するかもしれません。先に謝っておきます。すみません。
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