カテゴリー : 短時間ビジネス分析

5分と言わず見てみるビジネスモデル|「もっとおもしろくできる」paperboy&co.(3633) [2]

ペパボのロリポップ前回に引き続き、ペパボの財務内容とビジネスモデルを見ていきます。見るのは「新株式発行並びに株式売出届出目論見書」と「平成21年12月期 第8期 有価証券報告書」、そして「2010年12月期 第1四半期 決算説明会資料」の三種類の資料です。

特に決算説明会資料をご覧頂きたいのですが、非常にふざけた感じに仕上がっています。某投資会社に勤めている先輩は「何これ、こんな資料の会社の株、絶対買わねぇ」と豪語していました(笑) でも、その後、ビジネスモデルと現状を簡単に説明すると「めちゃくちゃいいじゃん、いくら?35億?ん~もうちょっと下がってくれないかな」とぼやいていました。そう、この会社は基本的にふざけているんですが、ビジネスモデルを簡単に説明すると、大変魅力的に写るんです。やっぱり外見より中身ですね。====

財務内容をざっと見てみる

財務内容をざっと見てみましょう。有価証券報告書と目論見書に1期からの主要経営数値の推移を見ることが出来ます。

ペパボ主要経営数値推移エクセルで作った表をパワポに貼り付けて、そのまま画像として保存してきましたので、ちょっと汚いですがご容赦下さい。ご覧頂けばわかるとおり、2005/12月期から経常利益が出るようになってきています。その後は安定して高い経常利益率(約20%)を記録し、順調な成長を記録し続けています。特に素晴らしいのが、無借金経営難ですね。自己資本比率が40%程度ですが、負債の多くが、未払い金と前受金/預かり金です。これらはビジネスモデル上、発生するのが当然なので負債として計上せざるを得ません。が、有利子負債はありません。当然、支払利息もありません。確かGREEもそうだったと思いますが、Webサービスで儲かっている会社で最近上場したところは借入金ないですね。無借金で市場から資金調達して、ビジネスを拡大するという形をとっているようです。

借入をすることの是非は諸説あると思いますが、基本的に自己資本で回すことができるのであれば、それが最もよいです。資本コストが安い順に、自己資本>借入>増資と並びます(この書き方あまりよくありませんが、まぁそれは目をつぶって下さい)。ペパボは自己資本だけで回せる状態がずっと続いているようですが、それを支えているのが、ペパボの強いビジネスモデルです。

ペパボの強いビジネスモデル

ペパボのビジネスモデルはストックビジネスである「サーバーレンタル」と「ドメイン取得サービス」によって支えられています。サーバーレンタルは、特に初心者向けに低価格のレンタルサーバーを提供する事業で、課金は○○円/月という月賦方式、ドメイン取得は、独自ドメインの取得管理代行する事業で、課金は年間管理料の先払いです。

このビジネスが強い理由は「ストックビジネス」であり、「解約のインセンティブが小さい」ことです。

ストックビジネスとは、一度契約したら、解約するまでお金が払われ続けるビジネスのことです。たとえば、家賃、携帯電話料金、駐車場料金、インターネット接続サービス、ニコニコ動画のプレミアム会員などがそれに当たります。こういうビジネスで重要になるのが、「新規契約件数」と「解約率」です。新規契約件数が増えれば増えるほど、毎月の売上は寝ていても増加していきますので、はじめは多少の赤字でも、新規契約を積み上げていくことが必要になります。ソフトバンクの孫さんはこういうビジネスに目がないですね。ある段階で、「もう新規契約を積み上げなくても、十分な利益が出る」状態に至ります。既存顧客のメンテナンスにそれほど労力がかからないとすれば、今後は遊んでいても利益が出ます。そして、ストックビジネスの場合、既存顧客を繋ぎ止めておくことにそれほどコストがかかることはありません(もちろん一概には言えませんが)。儲かりっぱなしです。

そうはいっても、解約率が上昇してくると、新規顧客をまた集めに行かなければ赤字になりますので、解約率は低い状態を保ちたいわけです。ここで、ある人の経済的な事情が変化し、毎月の費用を見直すことにしたと仮定します。その人は、必要な生活費以外には、1万円のスポーツジムと、500円のニコニコ動画有料会員契約をしていました。どちらを解約しようと思うでしょうか。おそらく、スポーツジム料金だと思います、ニコニコ動画有料会員契約は解除するかも知れませんが、しない可能性も大いに残ります。なぜなら「たった○○円/月のコストを節約しても大勢に影響ない」と思う可能性があるからです。つまり、低単価であれば、解約のインセンティブは小さくなる、ということです。高単価のサービスは「寝てても利益が出る状態」に至るまでの時間は短いかも知れませんが、反面、何かあった時の解約候補として真っ先にリストアップされます。低単価のサービスは利益が出るまでは長いかも知れませんが、解約のインセンティブは低いです。

要は、ペパボは「解約率の低い」サービスを30万契約(2010年12月期第1四半期決算説明会資料から)も保有しているので、「寝てても利益が出る」状態ですし、逆に「赤字ってどうすれば出せるの?」状態でもあります(もちろん、赤字にするのは簡単ですが 汗)。

さらに新規事業も

レンタルサーバー以外にも、ストックビジネスとしてEC支援事業に分類されているサービスも展開していますし、広告収入狙いの無料サービスも多数展開。そして、ブクログからバブ-へと電子書籍出版・販売ビジネスにも乗り出してきています。

Webでサービスを運営する上で必要なものは揃っていますから(サーバー技術、開発技術、運用技術、課金決済システムなど)、あとはアイデア勝負(なんですかね、ここ適当です)。

結論:余剰資金がある人は株買ってもいいんじゃね

余剰資金がある人は、自己責任と長期保有を前提に、この会社の株式を買っておいてもいいんじゃないかと思います。今は時価35億円くらいで、家入さんが保有株を売却しているのでなかなか株価も上がりませんが、配当性向も50%近くありますし、安定成長がかなりの確率で見込める銘柄として非常にお得だと思いますけど。ただ、もちろん投資は自己責任で。そうはいっても流動性は絶望的な銘柄ですから、リスクは大いにあります。ビジネスモデルは優れているんですけどね。

5分と言わず見てみるビジネスモデル|「もっとおもしろくできる」paperboy&co.(3633) [1]

今日はpaperboy&co.(3633)です。僕の大好きな会社で、僕が全く関係ない会社です(笑) この会社の好きな点は、サービスが初心者向け、強いビジネスモデル、ふざけた決算説明資料、この3つに尽きます。おそらく3回のシリーズになるであろうペパボエントリーの第1回目は、会社の現状をさらっと見てどんな会社か理解した後、沿革と経営陣、そして親会社について触れて、定性的な理解を深めておきます。あ、ただ、理念とか社風とかにはノータッチ。悪しからず。====

ペパボの現状をさらっと見てみる

さらっと現状をみたいならやっぱり財務ハイライトです。この会社は2008年12月に上場しました(今をときめくGREEが上場した翌日でした)。上場基準期である2007年12月期は売上1,794百万円/経常367百万円と経常利益率20%を超えており、2008年12月期は売上2,214百万円/経常433百万円、2009年12月期は売上2,728百万円/経常584百万円と順調に成長しています。同時期のGREEと比べると、成長率は低いですが、堅調に推移しており、次回以降のエントリーで触れますが、非常に堅く、強いビジネスモデルのため、長期保有に向いている銘柄だと思います。ま、あまり数字だけで判断するのもアレですが、外部向け資料を見る限りでは現状は非常に良好といえるかと思います。

ここから先はいつもの通り(?)有価証券報告書から見ます。EDINETの「有価証券報告書」をクリックし、「提出者名称」に全角で「paperboy」と打てば検索に引っかかります。最新の通期有価証券報告書を見てみましょう。

※EDINETは超絶ユーザーアンフレンドリーなサービス(お役所仕事)ですので、くれぐれもくじけないように気をつけてください。

ペパボの沿革

ペパボは創業者の家入さんが2001年10月に作った「マダメ企画」という会社が元になっています。有価証券報告書によると、マダメ企画でやっていたロリポップとCGI CANDY BOXという事業を継承して、ペパボができたそうです。ペパボになってから1年後の2004年1月にGMOから第三者割当増資を受けて、GMOの子会社になっています。それは今でも続く関係みたいですね。そこからさらに様々なサービスを立ち上げ、平成20年にジャスダック上場、現在に至る、と。

ペパボの経営陣

経営陣については「5.役員の状況」に記載があります、PDFの33ページですね。

会長がGMOの熊谷さんで、社長が佐藤さん、創業者の家入さんは平取締役ですか。ちょっとわかりにくいですけど、非常勤取締役になられたようです。非常勤も含めると取締役は8名で、うち3名がGMO、生え抜きは佐藤社長のみで、後は転職されてきた方です。GMOから3名といっても、非常勤が2人と経理財務本部長が一人(多分転籍)ですから、GMOの子会社ですけど、それなりの自由度はあるのかもしれません。

親会社GMOとの関係

GMOとの関係はPDFの15ページですね。基本的に市場原理に基づいた価格で取引を行っているけど、GMOに嫌われたら競争環境激変しますということが書かれています。親子間取引もそこそこあって、大きいところだと本体との「ドメイン登録料の支払い」や「メディア広告の販売」がそれぞれ3億円、1億円規模の取引、そして、クレジットカード決済についてはGMOの決済会社を使っているようです。ドメイン登録料の支払いとかよくわからないんですが、ムームードメインで取り扱っていなくて、お名前.comで取り扱っているドメインをムームードメインで取得できるようにしてるとかそういうことですかね?ちょっとわかりませんが、取引はそれなりにあるということは注意点として覚えておかないといけないですね。

また、GMOが所有しているペパボ株式の比率が62.6%とはかなりヘビーですね。GMOは基本的に売らないはずですから、それだけでもほぼ2/3の株式が流通しない、と。流動性という観点では非常にしんどい銘柄です。しかも家入さんが25%持っていますから、流動性は本当に深刻です。余談ですが、有価証券の価格は流動性に大きく影響を受けます。一般的に言われているのは、流動性が10%失われるたびに、その有価証券の本来の価値より3%ディスカウントする必要があるということです。ですので、「未上場(非公開)ディスカウント」というのは大体30%が相場です(流動性が100%ない)。ペパボは少なくとも80%くらいは「流通しない株式」みたいですから、本来の価値より24%ディスカウントされていると考えてもいいかもしれません。

ということで次回に続く

僕が愛してやまないペパボですが、投資対象として見る場合は、事業内容や現状、将来見通し以外の部分、つまり、親会社との関係が非常にデリケートかな、と思える内容でした。こういう要因は排除して欲しいんですけどね、本当は。というか、なんで上場したんですかね、この会社。無借金ですし、上場時もそんなに資金調達してなかったように記憶していますし。ん~、まぁいいや。次回では財務内容と強い強いビジネスモデルをもうちょっと詳しく見てみます。

5分で判断するビジネスモデル:パピレス(3641)ってそんな強いビジネスモデルじゃない

5minutes_analysisということで、今月の目標の一つでもあるビジネスモデル分析です。と言っても、がっちりやろうとするとアレなので、とりあえず僕が使っている簡単なビジネスモデル判別法です。どこかの誰かがやってるかもしれませんし、ちゃんと分析するアナリストの人とかが見たら「糞分析乙」って言われると思いますけど、あくまで簡便法ですから。5分で「強いビジネスモデルか否か」を(自己)判断する方法です。

5分間の内、検討するのは下記の3点です。見る資料は目論見書とか短信、余裕があれば事業報告書。

  • 収益性:利益率いいの?悪いの?
  • 成長性:売上規模大きくなる?利益率維持できる?/向上できる?
  • 安定性:再来期からいきなり赤字になったりしない?
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